
カルテシステムほど悩ましい問題はありません。記録は必要だし、かさばるし、電子化には問題がありすぎます。しかし開院当初にとことん頭を絞って考えなければならないことのひとつです。途中からシステムを変更することは至難だからです。私はサウザンドカルテシステム(LIHIT
LAB. ) を採用し若干の改良を加えて、おおむね満足しています
。
小山眼科のカルテシステムの前提条件としてレセプトコンピュータが正常に作動していることが必要です。患者さんの名前(と生年月日)から、カルテ番号と最終来院月を検索するのはコンピュータだからです。
LIHITのオリジナルのシステムでは登録順にカルテ番号を設定し、下2桁が同じカルテを同じ区画に収納します

第3単位棚の一部
1単位の棚は00-99までの100区画わけられています。この単位棚(例えばHK812)
をカルテの分量に応じて増やしていくわけです。

HK812 (幅1850 x 奥行408 x 高さ1855mm)
(仕切版を増やして100区画にして使います。)
サウザンドカルテシステム(ターミナルデジット・カラー分類方式)の利点については
LIHIT LAB. の CATALOGUE VOL.1 に記載されていますが、以下のとおりです。
・1患者1番号1ファイルのメリットが生かせる。
・カルテの検索および返却がスピーディーに行える。
・カルテを均一に収納できるので、棚のスペースに無駄がなく、カルテの増加にも柔軟に対応できる。
・シンプルなシステムであり、誰にでも容易に扱える。
・下2桁をカラー分類することにより、視覚によってカルテの入れ間違いを発見できるため、カルテの迷子がほとんど生じない。
・コンピューターと連動したカルテ管理ができる。
・ランニングコストの負担が少ない。(この行の意味はよくわかりません。)
小山眼科では複数の単位棚を最終来院月の時系列によって管理しています。この改良システム
の良い点は、日常診療の合間に少しずつ整理が進行しつづけること、カルテの整理の途中でも通常の診療になんら支障が及ばないこと、および、保管しきれなくなったら、法律の許す範囲で、しっぽの方から廃棄することができ、空のカルテ棚を作ることができる点です。
具体的には次のようになります。ある月の初めには受付カウンターに一番近い単位棚(第1単位棚)は後述の方法で空っぽになっています。この第一単位棚にはその月こられる患者さんのカルテが入っていきます。新患のカルテは新しくつくりますが、再来のカルテは他の単位棚から抜き出して、診療に使われ、会計終了後は第一単位棚に入ります。
月末が近くなると第1単位棚のカルテは増え、他の単位棚のカルテは減っています。このころ第2単位棚のカルテをすべて第3単位棚に移します。結果、第3単位棚のカルテは増え、第2単位棚は空になります。(第2単位棚のカルテが(最終来院月が)前月のもので、第3単位棚のカルテが(最終来院月が)前々月のものならばこのころにはどちらの棚もすかすかになていますので、寄せ集めが可能です。
そして月末までに第1単位棚のすべてのカルテを第2単位棚に移して、第1単位棚を空にします。こうして新しい月を迎えます。
他の単位棚に関しても、隣り合う単位棚どうしのカルテを寄せ集めて、空の単位棚を作る作業や、ひとつの単位棚のすべてのカルテを別の空の単位棚に移動する作業を、受付事務の仕事の手の空いたときに少しずつおこないます。寄せ集めによって、単位棚を空にすることが不可能になってきたら、カルテの総量が増えたということですから、早めに単位棚の数を増やします。いつも空の単位棚が2個以上あるようにしておきます。
1997年7月10日現在、受付事務室には6単位棚あって、最終来院月が1996年1月以降のカルテが保管されています。屋外には(倉庫を建てて)7単位棚あり最終来院月が1991年9月(開業月)から1995年12月のカルテが最終来院月の時系列で保管されています。保管しきれなくなったら、法律の許す範囲内で、しっぽの方から廃棄することができ、空の単位棚を作ることができます。
それぞれの単位棚に保管されているカルテは以下の通りです。
第1単位棚 受付事務室の1 最終来院月が1997年7月の方々のカルテ
第2単位棚 受付事務室の2 最終来院月が1997年6月の方々のカルテ
第3単位棚 受付事務室の3 最終来院月が1997年5月の方々のカルテ
第4単位棚 受付事務室の4 最終来院月が1997年1-4月の方々のカルテ
第5単位棚 受付事務室の5 最終来院月が1996年7-12月の方々のカルテ
第6単位棚 受付事務室の6 最終来院月が1996年1-6月の方々のカルテ
第7単位棚 屋外の倉庫の1 最終来院月が1995年1-6月の方々のカルテ
第8単位棚 屋外の倉庫の2 最終来院月が1995年7-12月の方々のカルテ
第9単位棚 屋外の倉庫の3 最終来院月が1994年1-12月の方々のカルテ
第10単位棚 屋外の倉庫の4 空
第11単位棚 屋外の倉庫の5 空
第12単位棚 屋外の倉庫の6 最終来院月が1991年9(開院月)-1992年12月の方々のカルテ
第13単位棚 屋外の倉庫の7 最終来院月が1993年1-12月の方々のカルテ
カルテ用のフォルダーにはポリプロピレン製(透明)のA4 (HK 714)を使用しています。このフォルダーがもう少し薄ければもっとカルテが収納できるのにといつも思っています。
(もう少し薄いA4 透明フォルダーをご存じの方は是非お教え下さい。)
以上、小山眼科のカルテシステムをまとめると次の通りです。
・患者さんの名前(と生年月日)から、カルテ番号と最終来院月を検索するのはレセプトコンピュータである。
・新患の登録順にカルテ番号を設定する。
・棚(ラック)を単位としてカルテを管理する。
・ひとつの単位棚は00-99の100区画に分けて使用する。
・カルテ番号の下2桁(00-99)が同じカルテを同じ区画に収納する。
・ひとつの単位棚に入るカルテの最終来院月は同じか連続している。
・受付事務の合間の時間のある時に、日常的にカルテの整理が進行する。
・カルテの整理の途中でも通常の診療になんら支障が及ばない。
・アクティブカルテとインアクティブカルテの区別がない。
・カルテの分量が増えるにしたがって少しずつ単位棚の数を増やす。
・屋内、屋外のあらゆる場所をカルテ庫として、収納できる限界までスペースを有効に使用する。
・カルテが増えて、保管しきれなくなったら、法律の許す範囲内で、しっぽの方から廃棄し、空の単位棚を作る。
